なかなか興味深くて、見ようと思っていた映画が先日というか、
きのうまで、
目黒シネマで上映されていて。
久しぶりに映画の批評なんかをしようかと。
目黒シネマは、単館上映のスタンスながら、
旬のやつではなく、幾分か上映されて日が経ったもの、
わかりやすい期間の目安でいえば、
上映された映画がDVDになった具合の頃に、
目黒シネマで選抜されて、2本だけ、2週間、上映される。
それで、昨日まで上映されていたもの。
「ブタがいた教室」。
と、
「ぐるりのこと。」。
この2本であった。
このページでは、
「
ブタがいた教室」について触れたい。
実話をもとにした映画で、大体半年ちょい前ぐらいに上映されていた作品だった記憶がある。
ネタバレしない程度に‥、というと、
どの程度まで中に触れられるかわからないので、
まあ、あらすじ云々をもとに触れてみる。
配られていたリーフレットにも、ほぼ大体が載っていたわけだから。
とある小学校6年のクラスで、ブタを飼い始めることになる。
担任教師の思惑としては、1年育てて、最後に食べよう。
というもの。
そして、「いただきます。」「ごちそうさまでした。」の意味を含んだ、
『いのちを食す』といった授業に活かしたいのだという。
当然、育てるとなると、情が移るのはわかりきった話ではあるが、
果たして、本当に、最後
食べるの?
というのが、このストーリーのあらましだ。
まぁ、かなりの部分が本当のように見える作り方にはなっていた。
ブタくんが塀を抜け出しているのに、
教室に向かうところなんかはリアルさには欠けているところはあったが。
自分含め観ている観客が、おそらくいちばん観たかったのは、
どうやって最後『食べる』に結論づけるのか!
そこであり、
さらに言うと、
ブタくんが食肉になった状態で、
6年生のコたちがその状態のブタくんとどう向き合うのか。
そこが見たかったわけで。
まあ〜、やきもきした。
これが感想ではある。
ただ、大人っぽい的を射た発言をする6年生のコが、
『食べる』にもっていけるよう、
討論でどう意見するのかは、見ていてすごい興味深かった。
『食べない』に結論をもっていくのなんて、
はっきり言って誰でもできる結論である。
そんなのは観ている誰も期待していない。
育てていたイミ、
それがブタくんだったこと、
育てることの責任といったものを子供たちが子供たちなりの言葉で表現しようとしていたのが、
すごくグッときたわけで。
深く根差すところは、作家小川糸の「食堂かたつむり」にも関連するところがあって
ちょっとそれを思い出しながら、「うんうん」と頷きながら、
終始映画を鑑賞させてもらった。
この映画でさらに着目したらいいと思うのは、
原田美枝子さん扮する校長先生の清潔感というか毅然とした風というか、
それが結構新鮮であった。
あと子供たちのなかでも、なかなか印象深いセリフをくれている肉屋のコ、
その子の父親が、コンドルズの近藤良平氏、
あとチョイ役でピエール瀧氏も出ている。
探してみるのもちょっと面白いかもしれない。
自分がいざこの子たちの立場だとしたら。。と思うと、
いざ、という時にならないと答えは出ないのかもしれないが、
...自分の腹をえぐるような気持ちで、
「食べる」を選択するようにも思う。
ただ、6年のときってそんなに大人でいられないよな、と思うのも本音。
演出は多々あったにしろ、もっと「観る側」を意識して作成されていたなら、
より、よかったかもしれない。
いのちを「食べさせてもらう」ということに迫る「本質」、
もっと迫ってくれることに期待していただけに若干残念だった感は残った。
ラストの迎え方も賛否両論であろう。
ぼくは正直、物足りなかった。
エンドロールで小学生のコたちの卒業式の模様をみせるのは、
それでよかったのだろうか、
という気持ちも残る。
「
ブタがいた教室〜ガチンコ版〜」
なんてのが上映されたら、ぜひ真っ先に見させていただきたい。